フィリピンにも日本と同様の社会保障制度が存在します。

とりわけ日々の生活に密接に関係する社会保障制度は、主にSSSとPhilhealthの2種類です。

SSS加入者は日々の仕事や生活をしていくうえで怪我や病気・出産時或いは死亡時において給付金や失業時には失業給付を受給することができ、さらには定年退職後の年金や怪我や病気の後遺症で働けなくなった時にも年金を受給することが出来ます。しかし各給付には受給要件があるため、要件を満たしているかどうかを事前確認することが必要です。

SSSの仕組みは日本における高齢者年金、健康保険制度の傷病手当金、障害者年金と出産一時金や雇用保険などを一つの社会保険制度に詰め合わせたような社会保障制度となっています。日本の年金制度と比べて社会保障給付額は低いが、それに比例するように従業員と会社が負担する社会保険料も日本と比較にならないくらい低く抑えられています。いずれにしても会社にとって従業員を雇用する以上は社会保険への加入が義務付けられていることに加えて、延滞した時の利息も日本とは比べ物にならないくらい高利率なので余計な費用負担を避けるためにも期限内納付が求められます。

SSSは2023年現在、それぞれの労働者の毎月支給給与額を4,250ペソ以下~29,750以上の53段階に分けて標準報酬月額を算定し、その標準報酬月額に保険料率をかけた保険料について雇用主と労働者がそれぞれの負担割合に応じて拠出して納付します。労働者の拠出分は毎月の給与から天引きされる形で支払われます。

以下、SSSの概要です。

SSSの加入者
・加入義務のある人 : 会社や組織などの雇用主とその従業員(60才以下)、自営業者(60才以下)
・加入できる人 : 自発的加入者(無職、海外で働く就労者、加入者の配偶者)

 

SSSで受給可能な社会保障制度

・怪我や病気
申請要件:
・4日以上の入院や自宅療養が必要であること
・直近12カ月の間に3か月以上加入していること
・雇用主あるいはSSSに通知していること
受給内容:
・1年間で最大120日間、納付した社会保険料の算定基準である平均日額基本給の90%相当額

 

・出産
申請要件:
・4日以上の入院や自宅療養が必要であること
・出産予定日の直近3カ月間加入していること
・雇用主に出産予定日を通知し、雇用主がその旨をSSSに通知していること
受給内容:
・通常分娩或いは帝王切開の場合、105日分の平均日額基本給の100%相当額
・一人親の場合、120日分の平均日額基本給の100%相当額
・死産ややむを得ず出産できなかった場合、60日分の平均日額基本給の100%相当額

 

・障害者一時金・年金
申請要件:
・一時金支給条件 ⇛ 障害認定前、1か月間加入していること
・年金支給条件 ⇛ 障害認定前、36カ月以上加入していること
受給内容:
・一時金 ⇛ 加入期間と加入時の社会保険料に比例して決定される
・年金 ⇛ 加入期間10年未満の場合、月額1,000ペソ
・   ⇛ 加入期間10年以上20年未満の場合、月額1,200ペソ
・   ⇛ 加入期間20年以上の場合、月額2,000ペソ

年金の場合、上記に加えてさらに月額500ペソを追加支給、さらに2017年1月より月額1,000ペソを追加支給

13か月年金 ⇛ 障害者年金の受給者には13か月年金が追加支給される。

 

・定年退職者一時金・年金
申請要件:
・60歳以上であること(選択的定年退職者)
・65歳以上であること(制度的定年退職者)
・加入期間120カ月未満の方、一時金の支給対象
・加入期間120カ月以上の方、年金の支給対象
受給内容:
・一時金 ⇛ 加入期間と加入時の社会保険料に比例して決定される
・年金 ⇛ 加入期間10年以上の場合、月額1,200ペソ
・   ⇛ 加入期間20年以上の場合、月額2,400ペソ

年金受給者の場合、上記に加えてさらに2017年1月より月額1,000ペソの年金が追加支給される。

13か月年金 ⇛ 年金の受給者には13か月年金が追加支給される。

 

・遺族者一時金・年金
申請要件:
・加入期間36カ月未満の方、一時金の支給対象
・加入期間36カ月以上の方、年金の支給対象
受給内容:
・一時金 ⇛ 加入期間と加入時の社会保険料に比例して決定される
・年金 ⇛ 加入期間10年未満の場合、月額1,000ペソ
・   ⇛ 加入期間10年以上20年未満の場合、月額1,200ペソ
・   ⇛ 加入期間20年以上の場合、月額2,400ペソ

13か月年金 ⇛遺族年金受給者の場合 13か月年金が追加支給される。

遺族年金受給者の場合、上記に加えてさらに2017年1月より月額1,000ペソの年金が追加支給される。

・葬儀費用
申請要件:
・加入期間1カ月以上であること
受給内容:
・加入期間と加入時の社会保険料に比例して決定される(金額20,000ペソ~40,000ペソ)

 

・失業給付金
申請要件:
・加入期間36カ月以上であること
・60歳未満であること(特定業種の場合は50歳や55歳未満であることが求められる)
・退職日から1年以内に申請すること
受給内容:
・加入期間と加入時の社会保険料に比例して決定される

 

当社では、従業員が怪我・病気や出産など社会保険給付に関わる出来事に遭遇した時の基本的な準備や給付手続き、事後対応のための心構えに関する改善指導コンサルティングを提供させていただいております。

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