フィリピンの外資規制により従来は外国資本による小売業への参入には高い参入障壁を設けていました。 代表的な参入障壁は最低払込資本金額を250万ドル、1店舗当たりの最低投資額83万ドルという高い投資金額を設定されていたことにより、ほとんどの外国資本小売業が算入できずにいました。しかしながら2020年3月より続いたコロナ禍によりフィリピン国内産業の倒産拡大や事業縮小等による企業数の減少に伴って失業率が高止まりしておりました。そのような社会情勢を受けて失業率の改善に向けた取り組みの一つとして外資による小売業への参入障壁の緩和があります。 雇用の受け皿となる小売業者数を増加させ失業者の再就職を促進させる目的で2021年12月10日に改正小売業法が公布されました。

資本金と1店舗当たりの投資額

最低資本金       改正前 :250万ドル   改正後 : 2,500万ペソ
1店舗当たりの投資額  改正前 : 83万ドル   改正後 : 1,000万ペソ

一般的な小売業をおこなおうとする事業者の最低払込資本金額を250万ドルから2500万ペソへ緩和するとともに、1店舗当たりの最低投資額も83万ドルから1000万ペソへと変更となり投資金額による参入障壁が緩和されることとなりました。しかしながら事業継続中はこれらの資本金を維持することは以前と同様に求められます。

またフィリピンで小売業を営む外資系事業者は上記の最低資本金が維持されているかどうかについて、3年ごとに貿易産業省(DTI),証券取引委員会(SEC),国家経済開発庁(NEDA)によりレビューを受けることが求められます。

撤廃要件
以下の要件は改正小売業法で撤廃されました。
・外資系企業の80%以上を所有する小売事業者は、事業開始から8年以内に、フィリピンの証券取引所を通じて、株式の30%以上を公募すること。
・2億ドルの最低純資産。
・世界中で5つの小売店またはフランチャイズが運営されていること。
・小売業で5年の実績、
・フィリピンの小売業者の参入を許可する国に本店所在地国とすること

奨励要件
・フィリピン国内で製造された商品在庫の保有。
・フィリピン人の優先雇用。

罰則規定の軽減
・懲役刑 : 6年~8年 ⇛ 4年~6年
・罰則金 : 100万ペソ~2000万ペソ ⇛ 100万ペソ ~ 500万ペソ

 

当社では、「フィリピン新規事業コンサルテーション」と題して、コロナ禍の終息した後、新規事業展開に向けたフィリピン進出や事業転換を目指す方向けの今後の法改正の動向やビジネス環境、或いは会計税務等の基本的な知識など事業準備、対応のための心構えに関する改善コンサルティングを提供させていただいております。

 

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