代表挨拶
はじめまして、米国公認会計士の橋本考史と申します。
初めにフィリピンに来られる日系企業様や多くのお客様のご支持をいただき今日まで事業を続けてこられたことに感謝を述べたいと思います。
弊社は海外進出をされる企業の会計税務・労務・設立関係等の支援を行う会計コンサルティングファームとして、多くの日系企業の支援に携わってまいりました。海外進出には乗り越えるべき障害や困難があり、規模の大小に関係なく多くのリスクにさらされます。その国や地域独自の法規制や商慣習・言語の違いによる制限あるいは不透明な行政手続きや不正、戦争やテロ、為替や外国人労働者の受入や査証等の問題などのカントリーリスクであり、とりわけ2020年に発生したコロナ禍においてそれぞれの国がとった防疫対策によりあらゆる場面において厳しい制限を強いられたことで改めて海外進出の難しさを実感した企業も多いのではないでしょうか。
それでもなお、わざわざそういったリスクがあることを承知で海外進出をする必然性と理由のある日系企業を支援するのが我々の使命です。私が企業の経営者やそれに準じる立場の方々とお会いする折に、海外進出にかかる不測の事態やリスクにはどういったもがあり、それらをいかに回避・低減できるのかという質問をお受けする時があります。そのような時にお話しさせていただくのは、「良い経営とは何か、或いは危機を乗り越えられる良い経営者とは何か。」ということをビジネスの原点に立ち返り、改めてじっくり考えることをお勧めしています。デフレやスタグフレーション、少子高齢化による低成長社会、激化する企業間競争、気候変動・戦争や環境汚染、疫病、不正や風評被害、その国特有のカントリーリスクや予期せぬ困難に晒されてしまった時、企業は改めて自らを見つめ直し原点に立ち戻ることが求められます。自らの存在意義は何か、自身が提供できる価値とは何かを考え、自らの経営を見直し、時代に合わせた組織を再構築し、サービスの内容や販売方法を見出す良いタイミングだと思います。それがたとえ厳しいどん底からの再出発であったとしても自身に揺らがぬ信念と存在意義を見失わない限り、チャンスはまたいつかどこかのタイミングで訪れることでしょう。
リスクや危機には大きく分けて2つの種類があります。
一つは戦争やテロ、気候変動や災害、疫病、法規制など自らの自助努力ではどうにもならないものであり、もう一つは人事や管理・企業統治、売上や経費の問題など自助努力の余地があるものです。
経営リスクには、自助努力でどうにもならない要素と努力次第で結果を変えられる要素が混在しています。そして努力次第で結果を得られるリスクの多くは「人」に起因するものが多いのではないでしょうか。
「良い経営とは何か?」
「危機を乗り越えられる良い経営者とは何か?」
それらの質問に対する答えは経営者自らが導き出さなければいけませんが、私が回答できる範囲で申し上げることができるとすれば、解決への手がかりとして、以下の短いストーリーを送ることとしています。経営者としての基本的な姿勢や考え方、経営方針の根幹となるものであり、日本人であれ外国人であれ人や組織あるいは社会とどう向き合うかを考えさせられる物語です。
古代中国の小国の周という国の文王と軍師太公望との会話より
文王:「天下は、いま栄えていても、いつまた衰えるかわからないし、うまく治まっていても、いつまた乱れるかわからない。なぜそうなるのか。君主の賢愚の違いによるものであろうか、それとも、天運の移り変わりがそうさせるのであろうか。」
太公望:「君主が愚かであれば、政治が乱れて国を危うくします。逆に、君主が賢明であれば、政治も安定して国も治まります。政治がうまくいくかいかないかは君主の責任であって、天運とは関係がありません。」
文王:「昔の賢君について話してほしい。」
太公望:「かつて帝堯が天下を治められましたが、さしずめ、この方などは賢君といえましょう。」
文王:「どんな政治をしたのか。」
太公望:「堯が天下を治めたとき、金銀や玉の飾りを身につけず、刺繍や柄のついた衣服も身にまといませんでした。珍奇な品や器にはいっさい目をくれず、みだらな音楽も聞こうとしませんでした。宮殿や部屋は素朴で、棟木や柱も荒削りのまま、庭一面に雑草が生えても刈り取ろうとはしませんでした。鹿の革で寒さを防ぎ、労働着をまとい、粗末な飯にアカザの汁、人民を使役するにしても耕作や機織りで忙しい時期は避けました。そして、ひたすら自分の欲望を抑えて、無為の政治を行ったのです。また、忠実に法を守る官吏は昇進させ、清廉で人民を愛する官吏には禄をはずんでやりました。人民に対しても、孝子や慈父を顕彰し、農業につとめる者を励まし、善行は広く表彰しました。つねに公平な態度で筋を通し、法を適用して悪事を取り締まり、嫌っている相手でも功績を立てれば必ず賞を与え、目をかけている相手でも罪を犯せば必ず処罰しました。老いて一人暮らしの者や幼くして親を失った者に対しては保護の手を差しのべ、災難にあって苦しんでいる家には救いの手を差しのべました。みずからの生活は極力きりつめましたので、取り立てる税金を安くすることができました。その結果、人民は飢えや寒さに泣くこともなく、豊かな生活を楽しむことができたのです。かくて堯は、人民から太陽のように仰ぎ見られ、父母のように親しまれたのです。」
六韜より
自らの贅沢には一切の興味を示さず、ただ人を思いやることの大切さを説いた物語ですが、組織のトップに立つ人にとっては組織や会社を取り巻く「人」が会社や社会の本源的価値であることを改めて認識させてくれるのがこの物語の本質です。経営者自身が着飾ったり大きく見せるのではなく、まずはトップ自らが周りの「人」を大切にすることで、「人」から尊敬され親しまれるようになり、困難や危機に陥った時には「人」があなたと会社を支え一緒に乗り越えることで、会社(天下)を長く存続させることが出来るという意味が含まれています。
私どもの会社は自身の売上や事業規模を誇ったり他社様と競争することは会社の方針ではありません。No. 1という称号には意味がないのではとすら感じています。名声や賞賛を得ることにも執着していません。先述の太公望の言葉に登場する帝堯(ていぎょう)の考え方が私たちの在り方そのものであり、目指すべき方向を示す羅針盤としています。周りと競争し結果や業績を争うのではなく、まずは地に足をつけ我々を支えてくれる「人」を最大限の力で支援することこそが我々の最重要のテーマだと位置付けています。
会社のお客様となられる企業様が、どんなに厳しい環境や経営危機にさらされようと、したたかに生き抜く生命力と変化に柔軟に対応するしなやかさを身につけるための支援を行い、高い付加価値と満足度を提供することができ、一日でも永く存続できるようお手伝いさせていただくことが弊社の至高のミッションであると考えます。日々のバックオフィスオペレーションの支援をするだけでなく、お客様がどのような困難な状況にあっても、常に最良の選択肢と救済を与えられるよう研鑽し磨き抜かれた最高のプロフェッショナル集団であり続けることが我々の目標です。時には世界の会計事務所の最高峰といえる4大事務所のグループファームを超える最高ランクのスキルを求められることもあり、現地で培ったそれらの知識と技術を武器にクライアントの要求に応え続けることが我々の存在意義となっています。
弊社はお客様に高い付加価値を提供させていただくことでお客様との時間を共有することができ、その間のみ存続を許されているにすぎない存在だという自覚の下にサービスを提供させていただいております。
「良い経営」とは何か?
残念ながらその究極の答えは私自身もまだ見つけることが出来てはいませんが、太公望の云うような「人」を大切にする経営(治世)を少しでも実践し、困難を乗り越え、今後長くこの会社を運営できたとしたら、その際には従業員やお客様からの一定の評価として受け止めても良いのではと思います。
そのようなことを思いながら、厳しいコロナ禍において撤退や縮小を余儀なくされた企業や解雇や転職を求められた方も自身の付加価値を高めて、自らを奮い立たせて再びビジネスの世界に戻ってこられることを期待するとともに、今回の厄災を何とか乗り切った企業様においても、これから訪れる大きな社会の変化やうねりに柔軟に対応し、戦略を見直し、これからの時代をしたたかに生き抜く力を蓄えていただければと思います。
お客様の企業価値及び事業の社会的必要性の増大と今後にわたる長い存続と発展を支援させていただくことが弊社の唯一の存在意義だと確信しています。
弊社がクライアントにサービスを提供するフィリピンは将来的には日本と多くの面で利害関係を共有する東南アジアで最も重要なパートナーになる国の一つになるでしょう。豊富な人材や鉱物資源を有するだけでなく、太平洋と南シナ海に面したこの国は地政学的にも重要な位置にあり東南アジアや太平洋の安定的発展に寄与する重要な国として、日本と良好な関係を維持すべき国の一つだと考えられております。また平均年齢24歳という若いこの国はこれからの発展が大いに期待されており、豊富な人材と安い人件費を進出メリットと考える労働集約型企業だけでなく、フィリピンを市場として考える方からの投資案件も増えてまいりました。
フィリピンへのM&Aによる企業進出や法人設立支援、会計・税務、法律の顧問をお探しの方は、是非一度、当社まで電話又は問合せフォームにてご連絡ください。当社には経験豊富な会計士や人弁護士が常駐しており、お客様からのご質問には迅速に対応しております。フィリピンでお会いできることを心よりお待ち申し上げております。
役員紹介
▼橋本 考史 (USCPA / CFE)
米国公認会計士(USCPA : ワシントン州 登録番号32377)
公認不正検査士 (CFE : 登録番号704576)
2000年 龍谷大学経営学部会計学科卒業
日米の会計事務所で約10年間勤務した後、クライアントからのフィリピン進出支援のご依頼をきっかけに本格的な支援に乗り出すこととなる。
専門分野:会計(日本、フィリピン、米国)、税務(所得税、法人税、付加価値税等)、国際税務、M&A、会社法、商法、査証
▼ROMEO I,SESE (弁護士)
フィリピン弁護士
約30年のキャリアを有する弁護士
元最高裁判所裁判官。退官後は大手財閥のDMCIを筆頭に、多くのクライアントを有するマニラ有数の弁護士
専門分野:民法、商法、会社法、税法、刑事訴訟、民事訴訟、査証
日本人からの依頼も多数あり。
▼MARIANNE T, PANGAN (公認会計士)
フィリピン人会計士
専門分野:会計、税務(所得税、法人税、付加価値税、相続税、贈与税、関税等)、会社法、労働法
▼MAE JANE FRANCISCO BERUG (公認会計士)
フィリピン人会計士
専門分野:会計、税務(個人所得税、法人所得税、付加価値税、国際税制、不動産取引税等)
▼峠崎 洋介(顧問)
顧問
日本の大学を卒業後、フィリピンに渡って来て以来の居住歴40年以上のロングキャリアで今まで多くの日本人と日系企業を支援してきている。日本政府観光局の顧問であり、また日本大使館からの日本人保護などの緊急要請の対応も行っており領事からの信頼も厚い。
法人設立、コーディネートやアテンド、査証、法律問題、金銭トラブル、刑事事件など持ち込まれる様々問題に対応します。
また、上記以外にも日比両国間での犯罪歴やフィリピン人や日本人に対する暴力や詐欺、脅迫的行為、当社の信用を毀損する行為があった場合、状況を総合的に判断し契約を解除することがございます。