フィリピンの2019年度のM&A概況


増税や資源価格の高止まりによる物価上昇と政策金利の引き下げによる抑制策

フィリピン統計庁による2019年6月のインフレ率は2.7%にとどまったと発表しています。これにより2019年上半期のインフレ率は3.4%となりました。2018年の税制改正による物品税の増税や資源価格の上昇などにより2018年度は5.2%と高いインフレ率を記録したものの2019年度は政策金利の引き下げなどのインフレ抑制策などにより物価上昇率は落ち着いてきています。

しかしそれでも経済成長率予測として2019年は5.7%、2020年は6.2%(IMF発表)となる見通しだということです。下方修正された理由として「2019年度の国家予算の成立が大幅に遅れたことにより財政支出の規模が予測を下回ったことで、公共事業の進捗に遅延したことやフィリピンの主要輸出品目である半導体などの電子機器などを製造するための原材料の輸入が減少傾向となったことなどによるものとされますが、それでも平均6%近い経済成長率を維持しており、今後のさらなる成長が期待されています。

中間選挙などの要因も好感されている

フィリピンでは今年5月に中間選挙が行われ、現職が大勝利したことで政権基盤が強化され政治体制が盤石なものとなりました。それと共に経済成長が続くフィリピンの信用格付けがBBBからBBB+(S&P)格上げされ、外国人投資家からの好感度が上昇しています。

M&A動向

様々な経済の上昇見通しを受けてフィリピンでは2019年に大型のM&A案件が成立しました。日本からは2月に全日空を傘下に持つANAホールディングスがフィリピン航空の親会社であるPALホールディングスと資本・業務提携契約を締結しました。PALホールディングスの9.5%の株式を103億9500万円で取得し、コードシェア(共同運航)拡大や機内食のケータリング受託などの分野で業務提携を開始させています。

また自動車用ヘッドランプ大手のスタンレー電気は28日、ドイツの自動車部品メーカー大手のヘラーのフィリピン現地法人を買収すると発表しました。年内にも全株式の90%を取得しました。フィリピンは経済成長が続いており、自転車や自動車などの販売が加速するとの見通しです。

フィリピン発の買収案件としてジョリビー・フーズはアメリカ大手カフェチェーンであるCoffee Bean&Tea Leafの買収が行われました。買収額は3億5,000万ドルに上り、ジョリビー・フーズにとって過去最大の買収となった。フィリピンでCoffee Bean&Tea Leafは多くの店舗を構えており食材などの仕入れやオペレーション分野での統合などによる相乗効果への期待とジョリビーとして海外進出を加速させたいとのようです。

 

フィリピンへ投資やM&A案件が多数ございます。今後の良好な経済見通しを受けてフィリピン進出が加速するものと思われます。フィリピンへのM&Aをお考えの方や詳細が知りたい方、お気軽に当社へご連絡ください。