ストックオプションなどに代表される自社株式をベースとした従業員や役員への報酬体系は、ストック オプション制限付株式報酬株価連動報酬 (SAR : Stock Appreciation Right)譲渡制限株式ユニット又は事後交付型譲渡制限付株式 (RSU : Restricted Stock Unit)などの形で与えられる従業員及び役員への給付であり、雇用者自身の会社の自社株式である場合とそうでない場合があります。 この報酬体系は、従業員が継続的に働いてくれることを目的とした報酬体系として一般的に利用されるシステムです。

BIR (フィリピン内国歳入庁)は、株式ベースの報酬の税務処理を変更する歳入規則 (RR) No. 13-2022 を発行しました。 この規則に基づき、今後はいかなる種類の株式ベースの給付も課税対象報酬と見なされ、被付与者である従業員が権利行使また受け取った報酬に対して給与源泉税が課されます。 この税務処理は、被付与者の従業員の雇用状況に関係なく適用されます。

 

RR No. 13-2022 より前は、株式ベースの報酬の税務上の取り扱いは、被付与者の雇用状況によって異なります。 被付与者が一般の従業員である場合は、給与に対する源泉徴収税の対象となる給与課税所得の一部と見なされますが、管理職または管理職の従業員については、フリンジベネフィット税の対象となる付加給付として扱われていました。

 

株式ベースの報酬に関する今後の税務処理の手順やかかる税金をさらに明確にするために、Revenue Memorandum Circular (RMC) No. 143-2022 が発行されました。  詳細の以下の通りです。

 

・株式ベースの報酬の付与には、キャピタルゲイン税 (CGT) および印紙税 (DST) は課税されない。

・対価を伴う株式ベースの報酬の有償譲渡の場合、売却価格とオプション価格の差額は キャピタルゲイン税 (CGT) の対象となる。

・株式ベース報酬の譲渡に対価が伴わない場合は贈与税の対象となる寄付行為として扱われる。

・株式に基づく報酬の行使に際し、株式の簿価或いは公正市場価格のいずれか高い方と、付与日に確定した譲受価格との差額は、所得税の対象となる報酬とみなされ、基本給与額との合算額に対する源泉徴収税が課税される。

・印紙税(DST) は、受給者に株式が実際に発行された場合にのみ課税。

 

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