フィリピンでは、従業員を解雇する場合、たとえ横領や重大違反であっても、原則として 「Two-Notice Rule(2段階通知ルール)」 が必要です。
これはフィリピン労働法上の Due Process(適正手続) にあたり、裁判・NLRC(労働裁判)で非常に重要視されます。
フィリピンの解雇手続の基本構造
フィリピンでは、「理由が正しい」だけでは解雇できません。
同時に、「手続が正しい」ことが必要です。
Two-Notice Ruleとは2つの通知を経る必要があるということです。
① First Notice(Notice to Explain / Charge Notice)
② Second Notice(Notice of Decision / Termination Notice)
解雇までの流れ(フィリピン実務)
STEP 1:事実確認・証拠収集
ここが最重要。
例えば会社経費横領のケースが発生した場合:
- 寮保証金返還の証拠
- 誰が受領したか
- 返還期限
- 返金されなかった事実
- LINE / Messenger / Email
- 会話履歴
- 金額証拠
- 領収証
- 証言
STEP 2:First Notice(説明要求通知)
ここではまだ解雇しません。
- 内容
- 問題行為の記載規則違反の指摘
- 弁明要求
- 回答期限の明示
例分
You are required to explain in writing within five (5) calendar days why no disciplinary action should be imposed against you.
この段階で重要なのは、「会社は結論を出していない」という形を作ることです。
STEP 3:Explain Opportunity(弁明機会)
フィリピンでは、書面だけで終わる場合も多いですが、重大案件では Hearing (事情聴取、証言記録) を推奨。
Hearingが必要になりやすいケース
- 横領
- 不正
- 金銭トラブル
- trust & confidence案件
Hearing内容
1.本人説明
2.質疑
3.記録
STEP 4:会社判断
ここで初めて判断。
STEP 5:Second Notice(最終解雇通知)
ここで初めて解雇或いは契約解除通知作成。
内容
- 調査結果
- 理由
- 就業規則違反
- 解雇日
フィリピン労働法で重要な概念
① Substantive Due Process(理由)
解雇理由が正当。
② Procedural Due Process(手続)
Two-Notice Rule。
会社が負ける典型例
ケース① 理由は正しいが手続なし。
→ 違法解雇扱い。
ケース② 感情で即日解雇。
→ NLRC敗訴。
ケース③ 証拠不足。
→ reinstatement命令。
フィリピンで横領案件の重要点
横領等のケースでは:「Loss of Trust and Confidence」
フィリピンで非常に強い解雇理由
ただし、「証拠+手続」が必要。
今回の例での推奨フロー
Day1 証拠整理
Day2 First Notice
Day7 回答期限
Day8–10 hearing
Day10–14 Second Notice
Effective termination(解雇有効日)の明示 例 : 2026/5/31
フィリピン実務で強い構造
日系企業なら組織なら、
① Incident Report(事故・違反報告書): 最初の発見記録
② Investigation Memo : 会社が事実確認した記録。
③ Notice to Explain : 本人に説明機会を与える。
④ Hearing Minutes : 聴聞記録
⑤ Decision Memo : 社内決裁
⑥ Termination Notice : 最終通知
この流れで行うことが最強の解雇手続きになります。
フィリピン労務の本質
フィリピンは、解雇理由の正当性より書類や手続によって勝つ国です。
特に例の横領案件の場合は、非常に強い解雇理由ですが、それでも、Two-Notice Ruleを無視したり省略すると違法解雇認定される可能性がある。
フィリピンで会社が生き抜く最強のサバイバル術は「正しいことを主張する会社」ではなく「正しい記録と手続きで進捗する会社」です。
フィリピン労務では、解雇の適正手続は Philippine Labor Code と、判例で形成された Due Process 原則に強く依存します。