フェルディナンド・R・マルコス・ジュニア大統領は2025年9月4日、マラカニアン宮殿カラヤアンホールにおいて、共和国法第12253号「大規模金属鉱業向け強化財政制度法(Enhanced Fiscal Regime for Large-Scale Metallic Mining Act)」に署名した。同法は、採掘部門から得られる収益を国民へより公正に還元するとともに、透明性・説明責任・ガバナンスを強化するため、近代的な鉱業財政制度を導入するものである。

本法は、これまでの一律的な鉱業課税を改め、段階的ロイヤルティ制度およびウィンドフォール・プロフィット課税制度を導入する点が特徴であり、主な内容は以下のとおり。

段階的ロイヤルティ制度
鉱業保留地外の金属鉱業収入に対し、1%から5%の5段階ロイヤルティを課すほか、低利幅事業者には最低0.1%のロイヤルティを適用する。鉱業保留地内の鉱山については、5%のロイヤルティが従来どおり適用される。

ウィンドフォール・プロフィット税
利幅30%を超える超過利益に対し、1%から10%の5段階課税を実施し、好況期における追加収益を政府が確実に捕捉できるようにする。

過少資本税制(シン・キャピタライゼーション・ルール)
関連当事者からの借入金について、デット・エクイティ比率を2対1に制限し、税務上の過度な利息控除を抑制する。

リングフェンス方式
鉱山ごとのプロジェクト単位で損益を計算し、一つの鉱山の損失で他の鉱山の利益を相殺できないようにする。これは大手事業者に長らく利用されてきた抜け穴を塞ぐ措置である。

地方事業税
鉱業請負業者に適用される地方事業税率が0.5%であることを明確化する。

収益分配とガバナンス強化
鉱業税収の40%が直接ホストLGU(地方自治体)に配分されるほか、鉱業保留地から得られるロイヤルティの10%は、探査活動、鉱物評価ラボの整備、鉱業地質局(MGB)および金属産業研究開発センターの能力強化に充てられる。また、鉱業関連データの公表や、鉱物販売に関する国内歳入庁(BIR)・税関局(BOC)の合同監査が義務付けられる。

財務省は、これらの改革により2026年から2029年の4年間で総額250.8億ペソ(年平均約62.6億ペソ)の追加歳入が見込まれるとしている。

透明性と説明責任

同法には、「透明性・説明責任」条項が盛り込まれており、採掘産業に関する各種データの開示および公的監視を義務付けている。対象となるのは、税・非税支払い情報に加え、実質的所有者情報、PENCAS法に基づく自然資本会計データ、歳入・歳出フロー、さらに証券取引委員会(SEC)への一般情報書類(General Information Sheet)など、企業提出書類も含まれる。

また、このプロセスを監督するため、政府、産業界、市民社会によるマルチステークホルダー型の仕組みを新たに設立する。透明性改革の観点からすると、これは非常に重要な前進である。これまで自主的に行われていた慣行が法律として制度化され、鉱業収入および企業データが国民に対してアクセス可能、検証可能、かつ説明責任を伴う形で公開されることが一層確実になるためである。

立法の歩み

2023年9月25日 – 下院がHB 8937を第3読会で可決し、2日後に上院へ送付。

2025年2月3日 – 上院がSB 2826を第3読会で可決し、国内加工投資を促進するため鉱石輸出禁止の実施前に5年間の猶予期間を設ける条項を採択。

2025年6月11日 – 両院協議会が相違点を調整し、統合法案を承認。

2025年7月31日 – 下院が成立法案(enrolled bill)を大統領府へ送付。

2025年9月4日 – マルコス大統領が、国会指導者、内閣閣僚、業界関係者らが出席する式典で同法に署名。