海外進出を行うために必要になるのが何といっても資金の問題があることでしょう。
通常は海外進出を行うには様々なコストが先行して必要となります。例えば進出候補先の事業環境や法律、外国企業への投資奨励策や外資規制などの現地調査費、工場や事務所のための土地やリース物件の確保、工場の建設(製造業の場合)、機材の輸入や調達、サプライチェーンの確保、現地法人設立手続き費用、水道や電気等の確保、現地の人員の雇用、日本人駐在員の住居、渡航費、ビザの申請などを連続して行う必要があり、時には一度に数千万円から数億円もの資金を必要とするため資金調達の問題を議論する必要があり、この段階で調達の目途が立たなかったり、本社の財務内容を圧迫するような事態に陥る可能性のある場合は、進出の延期や断念することも考えなくてはなりません。
海外進出にあたってどのような資金調達の方法があるのでしょうか。
大きく分けて融資、資本金(設立資本金と増資)、それと助成金の3種類ですが、とりわけ一般的なものは融資ですが、融資の方法はさまざまであり、代表的なものは以下の通りです。
・親子間ローン
・銀行融資(スタンドバイ・クレジット、クロスボーダー・ローン)
親子ローン
親子ローンとは親会社から現地の子会社或いは孫会社への直接貸付です。通常は銀行間送金がなされますが、WiSEやPayPalなどの資金移動会社を通じて行うこともあります。メトロバンクは日本国内(東京・大阪)に送金用の支店があり、BDOは現地送金会社があります。その他、日系メガバンク(UFJ、みずほ、三井住友)は現地に海外支店を設けているとともに、それぞれ提携している現地銀行などもあり、資金調達を行うための海外送金の機動性やサポート体制は整っているといえます。それぞれのメガバンクの海外現地支店で口座を開設することにより、速やかな親子間海外送金が可能になります。
銀行融資
①スタンドバイ・クレジット
日本国内の銀行から海外現地銀行に信用状(L/C)を発行して、海外現地銀行から現地法人への直接融資を行うスキームです。現地法人は信用状を担保に現地銀行から現地通貨建などで融資を受けることが可能です。東京スター銀行はフィリピンの現地銀行であるCTBC Bankと提携しているため、スタンドバイ・クレジットが可能な銀行として知られています。
②クロスボーダー・ローン
日本国内銀行から海外現地法人への直接融資を行うスキームです。原則として日本の親会社が信用保証を行うこととなります。銀行から現地法人に直接融資を行ないます。通貨は米ドル、日本円、現地通貨での融資が可能です。
海外進出先での会社の知名度や実績がなく、現地銀行にとって融資対象にはならないという会社にとって課題となるのが、海外現地での資金調達です。日本の親会社サイドで必要となる資金を負担することも可能ですが、コルレス契約の有無などによ資金移動に時間を要したり、第三国経由で送金されることもありその国での送金ルールに即していない場合は途中で送金がストップされてしまったり、為替の問題、送金の負担や機動性の問題もあるため、海外ビジネスを促進させていくためには、常に迅速な資金調達が可能な状態であることが望ましいといえます。
海外進出に伴う資金調達について、お問い合わせやご質問のある方は、弊社お問合せフォームよりご連絡ください。