クロスボーダーM&Aとは、設立されている国が異なる会社同士のM&Aのことであり、それぞれの国の法律に基づいて法人が設立されていたり、事業者として登録されているため、法人や事業体の法的根拠が異なることが一般的です。そのように設立された国が異なる会社同士が資本提携するためには相手の国の会社法を知るところから始めましょう。

クロスボーダーM&Aの特徴

.クロスボーダーM&Aの意義は時代の流れに合わせて会社も国際化を進めていく必要があり、様々な国の市場に参入したり、その国の人材や物価などその他の資源を自身の経営に活かしていこうというのが狙いとしてあります。また一からその国で事業を立ち上げようとするより、その分野で経営が軌道に乗っている企業や固定顧客を獲得している企業、或いはある程度の市場シェアを獲得している企業と提携(買収)して事業を進めていき、自分たちにできないことをやっている会社と提携することは人材やインフラ、ノウハウを自社で一から開発していくより時間の短縮や肝心の自社の価値をその国に伝えていくのにはるかに効率的であったりします。

クロスボーダーM&Aの特徴として、日本では考えられないような異分野の事業に取り組む人たちがいます。これは我々M&Aにかかわる人たちでさえ考えもつかないような、飛躍した考え方がそこにはあります。例えば日本では主に不動産関連で成功した企業が外国では美容関係の企業を買収したり、日本で小売業を行っている企業が海外では不動産やレジャー産業に進出するのが良い例です。日本で培ったスキルや経験を倍加させる相乗効果を見越しての買収というよりは、全く他分野への進出という形態で海外進出を果たす企業が思いのほか多いという印象です。またそのような会社との取引のほうが日本での同業者との取引よりM&Aが上手くいくケースがあります。なぜなら同業者としてのその会社に対する視点は労働者のスキルや顧客の資産価値にしか興味を示さず、比較的厳しい査定価格となることが多いからとされています。すなわち、ある程度のビジネスモデルが組みあがればどの国でもやることが一緒で特にビジネスモデルやスキルに対する価値評価がなされないケースが多く、取引価格が引き下げられる可能性があります。また日本式のビジネスモデルがごういんに導入されて今までの企業風土や文化が否定されてしまうことにも繋がるため、同種業者との取引はフィリピン人オーナーやその会社の従業員にとって必ずしも良い取引になったとは限りません。

そのため買収する会社にとって相手先の会社の何が資産なのかというのを見極めて最も高い価値を見出してくれる企業とのほうが結果的に買収後の運営も上手くいくような傾向にあると言えるでしょう。

東南アジアの一国であるフィリピンという国はIT関係も盛んな国で、フィリピン人の多くが何らかのSNSをたしなんでいるなど、ITとのかかわりが深い国でもありますので、SaaS分野の会社との連携なども注目を集める分野といえそうですね。 IT分野である程度目に見える顧客を持っている企業やマザーボードのデザインやCADのスキルを持っている企業など、その国でやりたいことのスキルを持っている企業を見つけ出して、うまく連携していくことで時間を大幅に短縮させることが出来るうえ、その企業の既存顧客へのアプローチも行えるのが魅力してあります。

クロスボーダーM&Aをうまく活用して自社の海外展開と事業の拡大に目を向けてみるのもいいでしょう。