仮想通貨(Virtual Currenty)とは一般的にはデジタル通貨(Digital Currency)の一種であり、これは開発者により発行されたものであり、各国の金融当局や中央銀行の規制を受けていないにも関わらず、コントロールされており、特定の仮想コミュニティ内で受け入れられ使用されています。デジタル通貨のタイプには、暗号通貨(Cryptocurrency)仮想通貨(Virtual Currency)中央銀行発行デジタル通貨(CBDC : Central Bank Digital Currency)があるといわれており、その中でも政府機関によって発行管理されないデジタル通貨は、法定通貨とは見なされず、国などの管轄に縛られずに所有権を譲渡することができます。暗号通貨とは暗号を利用した仮想通貨のことでありブロックチェーン技術を用いて運用されています。そのため、すべての暗号通貨は仮想通貨であると言えますが、すべての仮想通貨が暗号通貨であるとは限らないことに注意が必要です。

 

仮想通貨取引にかかる実現収益及び損失を現在の税制への適用

仮想通貨は収入または利益が実現した場合にのみ課税されます。 利益が実現したと言う時というのは、暗号通貨がペソやUSドルなど既存の法定通貨または何かの貨幣価値のある資産等に交換されたとき、または法定通貨でその価値が測定可能になった時点を指します。

一般的な暗号通貨の収益の源泉は大きく分けてTrading, Mining, Play-To-Earnの3種類です。

 

Trading(売買取引)

仮想通貨取引は、株式取引と同様に、市場の価格変動を利用して仮想通貨を売買することです。 トレーダーは仮想通貨の短期的な売買から利益を得ることを目指しています。では取引による所得はいつ課税されるのでしょうか?  それは法定通貨に交換した場合に課税されます。 これは、ペソやUSドルなどの法定通貨に交換された場合に課税対象となります。

 

Mining (マイニング)

Mining(マイニング)とはブロックチェーンを介して暗号通貨コインを生成することです。そして、取引と同様にマイニングからの収入も法定通貨に変換された場合にのみ課税されます。

 

Play-To-Earn (プレイして稼ぐ)

Play-To-Earn(P2E) は、Axie Infinity(オンラインゲームのタイトル) などのプラットフォームでプレイに応じて暗号通貨を稼ぐ行為です。このスキームはフィリピンで最近、人気が高まっています。 P2E は、その名前が示すように、プレイヤーがゲームを進めるにつれて暗号通貨で報われることとなります。プレーヤーが特定のゲームをプレーすることにより暗号通貨を獲得することができ、それを売ったりお金に交換したりすると、それにより得た収入が課税対象になります。

 

すべての暗号通貨及び仮想通貨は、フィリピンペソやUSドル、日本円などの法定通貨に交換した時点における利益に応じて課税がなされることとなります。したがって仮想通貨を実際のお金に変換したら所得税の申告をする必要があります。

 

支払対価として暗号通貨を受けとった場合
あなたのビジネスにおいて物品販売やサービス提供の対価として暗号通貨を受け入れた場合はどうでしょうか?  仮想通貨や暗号通貨で受け取った時点では法定通貨への換算がないという理由で課税対象にならないのでしょうか?

いいえ、その場合は課税対象となります。以下に例を示します。

製品やサービスの通常料金が 500ペソであると仮定した場合、仮想通貨で受け入れた金額は法定通貨で測定可能です。 それは実現利益とみなされます。 したがって、資産・商品・サービと引き換えに暗号通貨を受け入れた時点の法定通貨での測定される価値による利益が実現したものと考えられます。

 

他の暗号通貨への交換
ある暗号通貨や仮想通貨が別の暗号通貨や仮想通貨に交換された場合はどうでしょうか?  この取扱いに関しては日本やアメリカとは異なり、2022年の現時点において、保有しているある暗号資産を他の暗号通貨に交換した場合は、その時点では利益が実現したものとはみなされず、課税の対象とはなりません。

現状のフィリピンの法律と規制下において仮想通貨価値の増加や交換による利益が発生した場合であっても、法定通貨に交換されていない場合は、それを所得として認識されません。 課税所得は法定通貨または貨幣への変換がある場合にのみ認識されます。しかし、これは単にフィリピンにおける法整備が先進国と比べて数年単位で遅れているにすぎず、いずれは他国同様に別の仮想通貨への交換時点において保有している仮想通貨の実現利益が認定されることになります。

 

仮想通貨に関する規制はまだあいまいですが、仮想通貨の経済規模の拡大に伴い法律も日々進歩しています。また政府の課税権は強力で強制力を有します。 そのため、ひとたび仮想通貨に対して明確な課税認定要件が確立されると、通常の仮想通貨取引にまで影響を与えかねない厳格な制度が制定されることとなります。

フィリピン政府は徐々にではありますが、仮想通貨取引を理解を深めつつあり、仮想通貨取引にかかる課税強化される日も遠くないかもしれません。 これは一切の取引に例外を設けず税の公正さの実現に寄与するため社会的には良いことですが、仮想通貨取引に課税が強化され始めると、仮想通貨 に関連するすべての経済活動も監視対象となるため、納税者側においても政府の仮想通貨の取扱いに関する意識の変化に注意が求められることになるでしょう、