売主様と買主様の気持ちを大切に、
クロスボーダーM&Aをサポートします!
クロスボーダーM&Aとは
「国境を越えて行われる企業買収や合併取引」のことであるため、「国際M&A取引」とも言われ、譲渡企業または譲受企業のいずれか一方が日本以外の外国企業である場合をいう。
M&Aには、内国法人同士のM&Aを(IN-IN取引)といい、内国法人と外国法人のM&A取引を(IN-OUT取引)、または(OUT-IN取引)の三種類があるといわれている。中でもIN-OUT取引やOUT-IN取引をクロスボーダーM&Aと呼ぶが、内国法人(日本国内法人)の海外子会社が現地の外国法人を買収・合併する際にも広義の意味でクロスボーダーM&Aと呼ばれることがある。
クロスボーダーM&Aを行う場合、日本の国の法律や税制だけでなくその国の法律や税制、文化、慣習、言語を理解する必要があり、場合によっては法律によって外国資本の参入を規制している国もあるので、それら国ごとの様々な違いを理解した上でのM&Aが必要となる。
クロスボーダーM&Aを成功させる7つの鉄則
買収目的をはっきりとさせる(Purpose/Objective)
クロスボーダーM&Aは手続き自体が難しいため、いかにM&Aを成功させるかに意識が向かいがちですが、M&Aの本質は経営権を獲得したのちどのような運営を行っていくかという目標を当初からきちんと定めておくことが重要になります。
選定基準を設ける(Criteria)
これはドメスティックM&Aでもいえることですが、どんな企業でもいいというのではなく、企業にはそれぞれ特徴があります。自社の戦略に合致させるために、ここだけは妥協できないという基準を予め持っておきましょう。
自社の既存の事業を補完・強化するためのシナジー(Synergy)を明確にしておく
買収するにあたり、買収後に自社と対象企業が生み出す相乗効果(シナジー)についてもある程度のイメージを持っておきましょう。シナジーの発揮こそがM&A最大の効果を生み出す源泉となります。
人材・組織・顧客・取引先との信頼関係(Trust)を構築しておく
会社とはすなわち人の集まりでもあります。買収したから買収先の従業員や取引先は盲目的に忠誠を誓ってくれるわけではありません。時間をかけて買収の意味を説明したり、人と人とが信頼関係を構築できる努力が必要になります。
どの会社にも必ず強みと弱みは必ずあることを理解(Analysis)しておく
会社というのは、大きくても小さくてもそれぞれ強みと弱みがあります。弱みがあるからM&Aによる売却を考えるものであり、強みがあるから購入を検討する企業が現れます。また、会社を取得するにあたっては、対象企業の弱みを引き受ける覚悟も必要となります。対象企業は短期的には損失を生み出すだけの低付加価値企業かもしれません。それを長期的視点で黒字化したり、シナジーを生み出せるかがM&Aの判断の為所となります。
対象企業の譲渡理由(Reason)を理解しておく
企業を売却しようとする経営者はそれぞれ必ず理由が存在します。その理由をきちんと把握することで問題点を突き止めることができます。問題を定量化できれば、今度はそれを自社で負担することができるかどうか、または買収金額や買収ストラクチャーで調整できるかどうか、或いはディールをブレイクかを判断することができます。
経営権(Ownership)を掌握する
クロスボーダーM&Aで大半の経営権を取得し、自身が大株主で実質的な支配権を持っていたとしても、100%株式を取得できなかった場合、将来的に少数株主との間で利害衝突が生まれやすくなります。そうならないために、M&A契約時に自社或いは自社関連者が100%の経営権を取得することがディールの絶対条件とすることが求められます。
クロスボーダーM&Aについて
どのようなイメージをお持ちですか?
男A : クロスボーダーM&Aって聞くけど、どうしたらいいか分からない。
男B : 海外展開には興味はあるが、実際にするとなると本当にできるだろうか。
男C : その国の法律から言葉まで全部が日本と違うから不安しかない。
男D : 買収後は職場で一緒に働く現地人と日本人が上手くやっていけるだろうか。
男E : 譲渡価格の相場も分からない。
男F : 内密に進めたいけど、どこか無料で相談できるところはないかなあ…。
そのお悩みを解決します!
弊社では、クロスボーダーM&Aを検討中の経営者様向けに、
無料の個別相談セミナーを開催しています。
クロスボーダーM&Aに伴うリスク
クロスボーダーM&Aにおける企業価値評価は困難を伴います。
発展途上国や新興国が対象のケースでは財務諸表には表れない様々なリスクや先進国との相違が存在しています。外資規制や法制度上のリスク、政治リスク、不明瞭な基準で運用される税務リスク、急激な物価上昇などのインフレリスク、為替リスク、多額の対外債務などによる不安定な国家財政、環境リスク、災害リスク、戦争リスク、宗教、文化、言語の違いなどを考慮する必要があるといわれており、国の政治体制や経済情勢不安定な状況にあり、行政手続きや法解釈も変化しやすいため、日本や欧米の企業と比べて企業価値評価やリスク評価が難しいといわれるゆえんでもあります。
しかしそういった新興国や発展途上国では市場の著しい成長が見込まれるため、様々な不確実性や不安定要因がありながらも10〜20年分の利益が企業価値として評価されることがあります。
すなわち新興国市場というのは将来的な市場の成長性や発展性に対する期待が大きいということですが、国内M&Aと比較して十分成長しなかった場合のリスクも考慮しておく必要があります。
厳密に収益性を評価した上で、適切なバリュエーション(企業価値評価)を実施しましょう。
クロスボーダーM&Aでは、主に以下のリスクを考慮する必要があります。
カントリーリスク
カントリーリスクとは、相手国の政治や経済情勢などによって市場が変動するリスクです。新興国の政治情勢や経済の不安定要素が多く存在しています。政治体制の変化や世界的な通貨危機の影響を大きく受ける可能性、外資規制による内国法人の保護が優先されることもあります。
上記リスクが顕在化した場合、事業環境や収益性が悪化する恐れもあります。国によっては、政治の影響で会社の財産、収益が突然没収されるなど、事業の存続に係わる重大な問題へと発展する可能性もあります。クロスボーダーM&Aでは、それぞれの国の情勢等に対応した上で、M&Aを実施する必要があります。
共通(インダストリー)リスク
農産物の場合、供給と販売の市場が異なる場合、原材料の調達或いは農産物販売の場面のいずれかにおいて価格変動リスクが大きくなることがあります。また食品は消費や流通に際して季節や天候などの変動要因があるため、在庫や販売量、需要、運転資金の増減などが生じます。また時には生産・加工・流通の過程で異物混入などの品質問題が生じるとブランドの既存や風評リスクも発生します。
製造業などの場合、製品の検品や据付、アフターサービスなどのサービス面で販売事業者と生産業者とのリレーションがうまく取れないケースやこれらサービスの品質の維持などに予想外のコストがかかる可能性があります。いずれの場合においても、売掛金の回収リスクや為替の影響を考慮に入れることも必要です。
クロスボーダーM&Aでは、カントリーリスクや共通(インダストリー)リスクなどもバリュエーション(企業価値評価)に反映しなくてはいけません。
カントリーリスク一覧
項目 | リスク要因 | フィリピン | 日本 |
法制度 | 法律変更 | ◎ | △ |
外資規制 | ◎ | × | |
未成熟な法制度 | 〇 | × | |
政治・行政 | 戦争・テロ | ◎ | △ |
贈収賄・汚職 | ◎ | × | |
許認可の不許可や取り消し | 〇 | × | |
政権交代 | 〇 | △ | |
税制 | 制度変更 | ◎ | 〇 |
不明瞭な運用規定 | ◎ | × | |
経済 | 外貨換金・送金規制 | ◎ | × |
インフレ | 〇 | △ | |
為替変動 | ◎ | 〇 | |
財政破綻 | 〇 | △ | |
環境 | 環境規制 | ◎ | ◎ |
災害 | ◎ | ◎ | |
水源確保 | ◎ | △ | |
労務 | 賃金上昇 | ◎ | △ |
労働争議 | ◎ | △ | |
雇用不安 | △ | △ | |
能力不足 | 〇 | △ | |
金融 | 利子率 | 〇 | △ |
融資条件 | ◎ | 〇 | |
信用不安 | 〇 | × |
リスク ◎:特大、〇:大、△:中、×:小
共通(インダストリー)リスク一覧
食品
項目 | リスク要因 | フィリピン | 日本 |
原材料 | 価格変動 | 〇 | 〇 |
販売価格 | 価格変動 | 〇 | △ |
運転資本 | 季節変動性 | 〇 | 〇 |
労務 | 賃金上昇 | 〇 | △ |
労働争議 | 〇 | △ | |
ブランド力 | 風評リスク | 〇 | ◎ |
信用低下 | 〇 | ◎ | |
為替 | 為替変動 | 〇 | 〇 |
製造業
項目 | リスク要因 | フィリピン | 日本 |
原材料 | 価格上昇 | 〇 | 〇 |
売掛金 | 回収リスク | ◎ | 〇 |
販売 | 価格変動 | 〇 | 〇 |
労務 | 賃金上昇 | 〇 | △ |
労働力不足 | × | 〇 | |
為替リスク | 為替変動 | 〇 | 〇 |
技術 | 革新技術出現 | ◎ | 〇 |
リスク ◎:特大、〇:大、△:中、×:小
クロスボーダーM&Aの特徴
クロスボーダーM&Aには、譲受企業にとって譲渡企業の財務内容やビジネスに対する理解度が十分でない可能性があります。そのため譲受企業を保護するために独特の特約条項を入れたり、追加の監査手続きを行うことがあります。
クロスボーダーM&Aの特徴についてご紹介します。
ブレークアップフィー(Breakup Fee)条項
ブレークアップフィーとは、競合する買主への売却等の特定の理由が発生した場合などM&A取引が白紙になった際に売り手側から買い手側に支払われる違約金のことです。
その為、ブレークアップフィーをあらかじめ定めておくことで契約違反行為を防止する狙いがあります。ブレークアップフィーの相場は売却価格の1~5%程度の価格となります。
デューデリジェンス(Due Diligence)
クロスボーダーM&Aでは、現地の外資規制や独特の法律等への準拠等に関するデューデリジェンスの重要性が増します。日本では想定されていなかった法規制などのために譲渡後の事業に支障をきたす可能性があります。
その為、クロスボーダーM&Aには多額の費用がかかる点にも注意です。日本語と英語の契約書の作成や通訳にかかるコスト、独特の規制や環境DDも必要になるケースがあります。
知的財産(IP:Intellectual Property)や商標(Trademark)
買収後にSECなどから商標の差し止めを受けるケースなどがあります。これは、商標が他の会社やビジネスの商品名に使用されていたり、類似商号として他社から使用の差し止め請求が出される可能性があります。
また、日本において登録していた特許や知的財産権が、外国ではすでに第三者が登録済みで使用できないケースも報告されています。
対価(Consideration)
日本のM&Aでは、クロージングと同時に対価が支払われることが一般的ですが、クロスボーダーM&Aでは、一定期間対価の支払いを留保するケースがあります。これは保証内容に違反が発覚した際に、クロスボーダーM&Aの場合、違約金の請求が難しい場合があるからです。
その為クロスボーダーM&Aでは、エスクロー・エージェントと呼ばれる代理人に取得対価を預託金という形で預け入れ、その後一定期間に保証内容に問題や違反が確認されれば、預託金から損害額が差し引かれるという特約を締結しておきます。問題がなければそのまま売主に支払われます。クロスボーダーM&Aの際は偶発的なインシデントや後発事象に対しても厳格なデューデリジェンスを行ったとしても、こういったクロージング後の損失をすべて把握することが難しいため、取得対価を担保としたリスク回避策を講じることがあります。